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ブリッジSE(BrSE)という職種について、「語学ができて、話ができて、両者の間に立って理解を取り持つだけの仕事」と考えている方は少なくありません。しかし実際に経験した人であれば分かるとおり、BrSEの最も難しいところは語学力ではなく、思考のあり方と仕事の原則にあります。
特に2025年に入り、リモート・ハイブリッド・グローバルチームといった働き方が一般化したことで、BrSEの役割にはシステム思考、分析力、そして状況に対処する胆力がこれまで以上に求められるようになっています。

本記事では、BrSEとして長く、そして持続的にキャリアを築きたい方が必ず押さえておくべき3つの中核原則をご紹介します。
原則1:顧客の立場で考える
優れたBrSEは、常に次の問いから出発します。
「顧客が本当に望んでいるものは何か」。「顧客は今、何を言っているか」ではありません。
顧客は技術の言葉で語るとは限りません。事業上の課題、売上目標、ユーザー体験といった言葉で語ります。BrSEの務めは、その言葉の背後にある意味を読み取り、そのうえで技術チームへの要件へと翻訳することです。
顧客が市場投入までのスピードやビジネス価値を重視している場面ほど、BrSEは顧客の視点から物事を捉え、プロジェクトを初期段階から正しい方向へ導く必要があります。
顧客理解を先に置くことで、BrSEは認識の食い違いを減らし、手戻りを抑え、長期的な信頼を維持することができます。
原則2:顧客が常に正しいとは限らない。それを口にする権利がある
日本の方々は、あらゆる意思決定において非常に丁寧です。要件を提示する前には入念な会議と議論があり、何をするにも明確な理由があります。そのため、日本の顧客が「間違っている」という事態は極めてまれです。とはいえ、まれであることと、すべての要件が最適解であることは別の話です。
だからこそBrSEは、要件を機械的に受け取るのではなく、常に問いを立てる必要があります。なぜ顧客はこのやり方を求めているのか。もっと効果的な選択肢はないのか。疑問を持つことは顧客を否定するためではなく、プロジェクトをより良く進めるためです。
技術の変化が速く、要件が絶えず調整されるプロジェクトにおいて、BrSEには次のことを行う胆力が求められます。
- その要件が実現可能かどうかを分析する
- 納期・コスト・技術面のリスクを指摘する
- 言われたとおりに済ませるのではなく、より良い解決策を提案する
BrSEとは、顧客に「ノー」と言う人ではなく、「なぜ」と問い、「もっと良い方法はないか」と提案できる人のことです。この思考こそが、優れたBrSEの本当の価値です。
原則3:伝え方は工夫してよい。ただし嘘は絶対に許されない
BrSEは必ずしも「すべてを話す」必要はありません。相手に合った伝え方を選び、顧客が理解しやすいように物事を単純化して説明することもできます。
しかし、事実と異なることを言うのは絶対に許されません。日本の方々が最も嫌うことが二つあります。盗みと嘘です。日本の文化も経済も信頼のうえに築かれており、顧客との約束を守ることによって仕事をし、協業し、価値を生み出してきました。したがって嘘は、単に良くないことにとどまらず、受け入れがたい行為なのです。
今日の働く環境では、メール、管理ツール、オンライン会議を通じてあらゆるやり取りが記録に残ります。次のようなことを一度でもしてしまえば、
- できる範囲を超えた約束をする
- リスクを隠す
- 顧客に喜ばれることを言うが、チームには実現できない
BrSEの信用はあっという間に失われ、一度失った信用を取り戻すことはほぼ不可能です。
つまりBrSEは、細部のすべてを話す必要はありませんが、事実と異なることを言うことだけは決して許されません。上手に伝えることは一つのスキルですが、誠実さを守ることこそが、日本の顧客との長期的な信頼を築く土台です。優れたBrSEとは、言い方を工夫するにせよ率直に伝えるにせよ、問題の本質を正しく伝えられる人のことです。
なぜ原則はスキルより重要なのか
主な理由は次の3つです。
- 語学力、コミュニケーション力、技術知識といったスキルは、時間をかけて学び、伸ばすことができます。技術の移り変わりは非常に速く、今年使っているものが数年後には新しいものに置き換わっています。しかし仕事の原則は違います。それは、プレッシャーがかかる場面であなたがどう対処するかを決定づけるものです。
- 現実には、日本語が堪能で、話し方も上手く、技術も理解しているにもかかわらず、BrSEとして長く続かない人が数多くいます。その理由は能力ではなく、両者の間にどう立つかにあります。顧客から妥当とは言えない要件が出てきたとき、関係を損ねることを恐れて反論できない。技術チームが困難に直面したとき、明確な線引きができず、責任をすべて自分で抱え込んでしまう。そして顧客とチームの間に対立が生じたとき、前に出て問題を明らかにするだけの胆力がなく、プレッシャーだけが積み重なっていくのです。
- 逆に、明確な原則を持つBrSEは、いつ耳を傾けるべきか、いつ「ノー」と言うべきか、いつチームを守るべきか、いつ顧客に率直に伝えるべきかを判断できます。こうした原則があるからこそ、BrSEは信用を保ち、個人にかかる負荷を軽くし、早々に燃え尽きて離脱することなく、長くこの職を続けられるのです。
まとめ
BrSEの仕事は、コミュニケーションが上手いことや日本語ができることだけでは務まりません。それ以上に重要なのは、顧客、とりわけ日本の顧客の仕事の文化、思考、そして中核となる価値観を理解することです。誠実であること、適切なタイミングで疑問を投げかけること、事実と異なることを言うくらいなら「まだできていません」と言うこと、そして問題を報告するときは必ず解決策を添えること。これらはBrSEが信頼を築き、この職で長く立ち続けるための、生命線ともいえる原則です。
とはいえ、こうした思考やスキルは自然に身につくものではありません。BrSEという道に足を踏み入れたばかりの方であればなおさらです。VietIS EducationのPre-BrSEプログラムが、本格的な橋渡し役を担う前の安全なステップとして設計されているのは、まさにこのためです。ここでは受講生が技術の基礎を固め、専門分野の語学力を高めるだけでなく、企業での実地研修(on-job-training)を通じて、実際の状況、実際のプロジェクト、そして日本の環境に準じた仕事の進め方に直接触れることができます。
大きなプレッシャーと高いリスクを抱えたままBrSEのポジションへ「飛び込む」のではなく、Pre-BrSEを通じて知識・思考・胆力を十分に準備する。そうすることで、BrSEの役割に就いたときに、ただ仕事をこなすだけでなく、正しいやり方で、持続的に、そして信頼される形で働くことができます。これこそが、2025年、そしてその先もBrSEとしてのキャリアを長く歩みたい方にとって、より安全で現実的な道筋です。